ダンスと音楽は切り離せない

私が20年以上ダンスをやってきた中で、この話は非常に印象深く、実際に目にしたわけではないのですが、聞いて以来10年以上経った今でもハッキリ覚えている話なんです。当時10代後半だった私は、たまたま偶然、当時教えて頂いていた英語の先生とストリートダンスの話になりました。先生も若い頃、日夜ストリートダンスに明け暮れ、趣味が高じて渡米までしてしまったそうです。英語教師となった彼はその後も趣味としてダンサーを続けていたそうですが、自分の家の近所の老人ホームへボランティア活動のような事もしていたそうです。

ある時、その老人ホームへバンド演奏を呼んで、演奏会を開く機会があったそうで、先生もその日ホームへお年寄りのお世話をしに行ったようです。演奏会は大変盛り上がったようですが、ホームのお年寄り中には数名、耳の聞こえない方もいたそうです。その耳の聞こえないお年寄り達は会場に集まったものの、演奏そのものが聴こえないので、どこかつまらなく寂しそうにしていました。それに気付いた先生が、その耳の聞こえないお年寄りの傍に行き、バンド演奏の音楽に合わせて体でリズムを取り始めました。

耳の聞こえないお年寄り達は、じっと先生を見つめていたそうです。バンド演奏に盛り上がる他のお年寄りの傍らで、表情は変えずにじっと自分を見つめる耳の聞こえない人達。先生はとっさにロックダンス(ストリートダンスではオールドスクールに分類される非常にコミカルなダンス)を踊ったそうです。暫く踊っていると、じっと見つめていたお年寄りの表情が次第に柔らかになり、笑顔で先生を見ていたそうです。その中のひとりが、先生の踊るダンスのリズムに合わせて手拍子を始めました。それにつられて他の聴こえなかったはずのお年寄りも同じように手拍子を始めたそうです。ホームのヘルパーの方は、そのお年寄り達が急に耳が聞こえるようになったと勘違いした程だったそうです。しかし、きっとそのお年寄り達には音ではない何かが聞こえていたのでしょう。

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