子ども時代の「ダンストラウマ」を脱した経験

私は4歳、年中から入った幼稚園がそれはそれは大嫌いでした。ただでさえ非常に人見知りな子どもだったので、年少から持ち越して仲良くしているクラスメイト達の間に全く入っていけませんでした。また、両親が選んだ幼稚園と言うのがとにかく「体を動かす」ことに重点を置いており、ひらがなカタカナを全く習わない代わりに、毎日園庭で「体操」と「お遊戯」のフルコースです。体を動かすより、絵本を読んだりするのが好きだったので、これは本当に苦痛でした。また、お遊戯発表会的なものが頻繁にあるのです。学期末やクリスマスなどのイベントにかこつけて、何種類もの「出し物」すなわち演壇での集団ダンスを父兄に披露するのが定例になっていました。その衣装というのが…。

子ども心にも「だ…ださい!!」と怖気づくような代物ばかりでした。そう言った意味では、私には妙に大人びた所があり、こんな子どもだましな衣装を着て、あの子どもっぽい音楽に合わせて踊るなんて絶対に嫌だ…!!と感じていたのです(そういう自分も十分に子どもなのですが)。嫌だ嫌だと思う気持ちは態度にも表れ、先生たちにはかなり叱られました。そして親からの感想もネガティブなものばかりで、これら全てが私にとっては「ダンス=ネガティブ」と言うトラウマになってしまったのです。それ以降、例えば中学校では選択の授業からは一切ダンスを排し、この先踊る機会なんていらないし、見たくもない…と思っていたのです。

ですから大学時代、友人にチケットをもらった時は困惑しました。つきあいと思って…と、内心しぶしぶ行ったのです。そこで私は強い衝撃を受けました。スペインのフラメンコ巨匠、マリア・パヘスの舞台に、今更ながら私のダンス観は根底から覆されたのです。「ダンスって、体を使ったアートだったんだ…。」人間ひとり、女性ひとりの身体がこれほどまでに印象的に、美しく咲き誇る様というものを見たことがなかった私は、さながらカタルシスにむせび泣きたいほどの感動を覚えたのです。それまでのネガティブな印象は消え失せ、動くという事・踊るという事は美しい…そんな風に世界が違って見えてきました。そんなきっかけを作ってくれた友人には、今でも心底感謝しています。

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